3日限りのルームシェア
「ねえ樹さん」
家に帰ると2人でテレビを見ていた。
「なに?」
「私と一緒に暮らしたいですか?」
あまりのストレートな聞き方にさすがの樹も顔が赤くなる。
「直球だね。でも・・・く・・暮らしたいよ」
「じゃあ・・・このままルームシェアでいいですか?」
樹はルームシェアということに引っ掛かりを感じた。
せっかく好きになった者同士が一緒の家にいるのに敢えてルームシェアにするのかと・・・
「それは・・・いやだ・・・ルームシェアじゃなくて同棲がいい」
「ど・・・同棲?」
「ルームシェアは他人同士が部屋を共有するってことでしょ?
でも今は恋人同士なんだか同棲でしょ?」
二人の距離がぐっと近づく。
「・・・そっか・・・じゃあ~・・同棲しますか?」
樹がフッと微笑むと触れるだけのキスだった。
そして樹がすっと立ち上がった。
「どうしたの?」
「今から2人の生活に必要なもの…買いに行かないと!」
樹は黙って知香を見ていた。
ずっと好きだった人がやっと自分の物になった。
こんなにうまくいくならもっと早く行動すべきだったかと
思ったが
その考えはすぐに消えた。

この長い片思いがあったから今こうやって好きな人が
近くにいてくれる。
「樹さん!行きますよ。言いだしっぺがぼーっとしてちゃダメですよ」
ルームシェア・・・
今は恋人となってルームシェアから二人の家に変わろうとしている。
これ以上の事を望んでもいいのだろうか・・・
欲張りになった樹はそう思わずにいられないのも事実
だけど・・・あせらない。
「もう~樹さん?」
「ごめん。行こうか」
時間はたっぷりあるからね・・・
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