あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
止まったページには絵と、文字が交互に書かれている。
王子は世界地図を指差した。
「この世界はまおが住んでいた世界とは、違う世界だ。 本来なら、一切交わることはなく、互いの存在を知ることもないだろう。
この世界には三つの界があり、そのうちのひとつが先程まおがいた場所だ」
王子が指差したのは、大きく二つに分けて南側にある大陸だった。
あの、凄い空気の悪い場所のとこかな……。
思い出すだけで、寒気がしてきてしまう。
「もうひとつが、聖なるものが住む場所、天界 ルクティアだ。 さまざま神たちや天使などが住んでいる。そして、もうひとつが──」
そういうと、王子は開いていた本の絵を指差した。
「ここ、魔界 ウェズリアだ」
本の絵には、さっき街の真ん中で見たような大きな木が、絵の中でも街を覆うようにして広がっている。
自然豊かだよね~。
「この三つの界を合わせて、俺たちはサーチェルと呼ぶ」
サーチェル……。
それがこの世界の名前。
「本当に、ここが魔界だなんて、信じられません」
思わず、思っていたことが口をついて出てしまった。
慌てて口を両手で押さえるけど、王子はこちらを見ている。