あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
そのあと、カカオが呼ぶとボルトはいつの間にか来ていて、カカオはボルトの背に跨がった。
そして、あたしはといえば……。
「うぇ~! できないよぉ!」
カカオにシュガーを使って帰れと言われ、なんとかシュガーを変身させようとしているんだけど……。
──ポス。
意味不明な音しか出てくれない。
だってあたし、魔力の使い方習ってないんだからね!
それなのに、カカオは……!
やっぱり、鬼‼︎
いや、違う!
確かカカオ、あたしが魔力使えて当然!みたいな顔してなかったっけ?
もしかして、あたしが魔力使えないこと、知らない?
「まお、今日はしょうがねぇよ」
心が繋がっているシュガーはそのことをきちんと知っているためか、カカオと違って優しく慰めてくれる。
ううう。
カカオにもシュガーのような優しさがあれば、今よりはマシなのに……!
「じゃあ、どうやって帰ればいい?」
シュガーは今、人間の姿。
普通にあたしと喋っている。
「しゃーねぇ、あれ使うか」
「“あれ”?」
ポリポリと赤い髪の頭を掻いたシュガーは、何かを呟き始めた。
そして……。
まるで、ワインのコルクの蓋を取ったような音がして、そこにはシュガーではなく、一本の箒(ほうき)が浮いていた。
可愛らしく、赤いリボンも柄のところについている。
……もしかして。
「シュガーなの?」
〈おう! まお、俺を使って帰ればいい。 まあ、これをやった後は反動で動けねぇくらい疲れちまうんだけどな〉
こんなんで飛べるの?
半信半疑のあたしは、箒を手に取ると、アニメなどを想像して見よう見まねで跨がった。
〈飛べっ!って念じろ。 そしたら、飛べっから!〉
シュガーの言葉を信じ、箒を掴む手に力を入れる。
(飛んで!)
そして、地面を軽く蹴ると……。
足が地面から離れた。
あっという間に地面が遠くなった。
「っわああっ!」
あまりの高さに、目眩を覚えてしまう。
〈わー! まお! 手を離すんじゃねぇ! 落ちるっつうの!〉
箒から聞こえる声が、頭の中で響いて、なんとか体勢を整えることができた。
下を見ると、カカオはいない。
どうやら先に帰ってしまったようだ。
「ここからお城ってどっち方面なの? あたし、カカオに連れて来られたから、方角わからなくて……」
〈魔法を使え、ってまだできねぇしな……とりあえず、真ん中の大きな木までに行ってみようぜ。 城はでっけぇから、すぐにわかるはずだ〉
「わかった」
あたしは箒の柄を、国の中央に向けた。
すると、ずっと同じところを旋回していた箒はまっすぐ木に向かう。
しかも、シュガーが操作してくれているからか、ちょうどいい速さだ。