暗闇の恋
やっぱり朝から雨だった。
朝のニュース番組では気象台が梅雨入りを発表しましたと言った。
神様は私の願いをきかないばかりか、今日から梅雨入りを発表させるなんて酷すぎる。
まぁ晴れたからといっても会えるわけじゃないし、会っても見えないし、声聞いてないし…。
聞こえないって書いたけど。障害者は聴覚なのかな?発声なのかな?
もし少しでも話せたら声が聞きたい。
外は凄い雨。
雨音が家を包む。
「歩 用意できたの?」
「うん、もう玄関にいるよ!」
またいつもの足音。
「はい、お弁当。さっ行こうか?!」
雨音が一層大きく聞こえる。
風が強く家の中でも雨を感じる。
お母さんが傘をさしてくれる。
先に私を乗せて少ししてお母さんが乗ってくる。
「朝からよく降るねぇ」
「うん、凄い雨の音…」
携帯電話の鳴る音がした。
「ちょっと待ってて…はい、井伊垣です。えっわかりました。娘送ったらすぐに向かいます。失礼します。」
「どうかしたの?」
「なんかトラブったみたい…歩ごめん。もしかしたら迎えに行けないかも…」
「じゃ帰りは直杖で帰るよ。」
「大丈夫?」
「大丈夫。15分の距離だし、ずっと通ってるんだから…」
「わかった…今は折りたたみよね?待ってて取ってくるから」
車を降りて戸が閉まる音。
雨の中を走る音がした。
足音は一瞬途切れまた近付いてくると車の戸が開く。
「はい。」
「ありがとう。大丈夫?濡れなかった?」
「うん、大丈夫よ。さっ行こうか。」
「うん。」
車のエンジンがかかり、動き出す。
車の窓にあたる雨音が一層強くなった。
雨の音は好きな音の一つ。
色んな音色に聞こえて気持ちが楽しくなる。
ワイパーの音はメトロノーム。
心地良くなっていつも雨の日は車の中で音楽を口ずさむ。
お母さんも入ってきて、二人で合唱になる。
だから雨の日は好き!って思った頃学校に着いてしまう。
「はい、今日はここまで。気をつけていってらっしゃい。帰りも気をつけて。家着いたら携帯に連絡してね!
「うん、わかってます。お母さんも車、気をつけていってらっしゃい。」
お母さんが車に乗る音を聞いて私は校舎に入った。
今日は勉強が手につかない。
昨日の彼の手や香水の香りを思い出す。
彼は何歳なんだろう?
手の感じだと、私と変わらない感じがした。
会いたい…。
昨日会っただけなのに、もう会いたい。
私おかしくなっちゃったのかな?
名前も知らない。どんな人かも知らない。
知っているのはシトラスとムスクの香り。
ガッチリしてた腕の中。
それと優しい手。
「歩!?あ・ゆ・む??」
「あっは、はいっ!!」
「なんか昨日から変だよ?」
「えっそう?」
「うん、なんかうわの空。」
彼女は理沙。
理沙とは中学から一緒だ。
彼女は徐々に視力が落ちていき、最後には失目してしまうらしい。
今はまだぼんやり見えている。
「う〜ん。そんなことないんだけど…。」
「歩…私はまだ見えてるのよ!隠しても無駄なんだから!ほらっ白状しなさい!!」
私の肩を掴んで揺する。
「わっわかったから…言うから…。昨日登校の時ね……」
「えぇぇなにそれ!!運命的な出会いじゃん!!」
昨日の事を話すと理沙は興奮した。
「それってもう恋が始まってるよね?」
「恋?」
「そう!恋!」
理沙に言われるまで思いもつかなかった。
恋か…。
チャイムが鳴った。
「また後で…」
理沙は自分の席に戻った。
それぞれが席に着く音がする。
外はまだ雨の音がしていた。
朝のニュース番組では気象台が梅雨入りを発表しましたと言った。
神様は私の願いをきかないばかりか、今日から梅雨入りを発表させるなんて酷すぎる。
まぁ晴れたからといっても会えるわけじゃないし、会っても見えないし、声聞いてないし…。
聞こえないって書いたけど。障害者は聴覚なのかな?発声なのかな?
もし少しでも話せたら声が聞きたい。
外は凄い雨。
雨音が家を包む。
「歩 用意できたの?」
「うん、もう玄関にいるよ!」
またいつもの足音。
「はい、お弁当。さっ行こうか?!」
雨音が一層大きく聞こえる。
風が強く家の中でも雨を感じる。
お母さんが傘をさしてくれる。
先に私を乗せて少ししてお母さんが乗ってくる。
「朝からよく降るねぇ」
「うん、凄い雨の音…」
携帯電話の鳴る音がした。
「ちょっと待ってて…はい、井伊垣です。えっわかりました。娘送ったらすぐに向かいます。失礼します。」
「どうかしたの?」
「なんかトラブったみたい…歩ごめん。もしかしたら迎えに行けないかも…」
「じゃ帰りは直杖で帰るよ。」
「大丈夫?」
「大丈夫。15分の距離だし、ずっと通ってるんだから…」
「わかった…今は折りたたみよね?待ってて取ってくるから」
車を降りて戸が閉まる音。
雨の中を走る音がした。
足音は一瞬途切れまた近付いてくると車の戸が開く。
「はい。」
「ありがとう。大丈夫?濡れなかった?」
「うん、大丈夫よ。さっ行こうか。」
「うん。」
車のエンジンがかかり、動き出す。
車の窓にあたる雨音が一層強くなった。
雨の音は好きな音の一つ。
色んな音色に聞こえて気持ちが楽しくなる。
ワイパーの音はメトロノーム。
心地良くなっていつも雨の日は車の中で音楽を口ずさむ。
お母さんも入ってきて、二人で合唱になる。
だから雨の日は好き!って思った頃学校に着いてしまう。
「はい、今日はここまで。気をつけていってらっしゃい。帰りも気をつけて。家着いたら携帯に連絡してね!
「うん、わかってます。お母さんも車、気をつけていってらっしゃい。」
お母さんが車に乗る音を聞いて私は校舎に入った。
今日は勉強が手につかない。
昨日の彼の手や香水の香りを思い出す。
彼は何歳なんだろう?
手の感じだと、私と変わらない感じがした。
会いたい…。
昨日会っただけなのに、もう会いたい。
私おかしくなっちゃったのかな?
名前も知らない。どんな人かも知らない。
知っているのはシトラスとムスクの香り。
ガッチリしてた腕の中。
それと優しい手。
「歩!?あ・ゆ・む??」
「あっは、はいっ!!」
「なんか昨日から変だよ?」
「えっそう?」
「うん、なんかうわの空。」
彼女は理沙。
理沙とは中学から一緒だ。
彼女は徐々に視力が落ちていき、最後には失目してしまうらしい。
今はまだぼんやり見えている。
「う〜ん。そんなことないんだけど…。」
「歩…私はまだ見えてるのよ!隠しても無駄なんだから!ほらっ白状しなさい!!」
私の肩を掴んで揺する。
「わっわかったから…言うから…。昨日登校の時ね……」
「えぇぇなにそれ!!運命的な出会いじゃん!!」
昨日の事を話すと理沙は興奮した。
「それってもう恋が始まってるよね?」
「恋?」
「そう!恋!」
理沙に言われるまで思いもつかなかった。
恋か…。
チャイムが鳴った。
「また後で…」
理沙は自分の席に戻った。
それぞれが席に着く音がする。
外はまだ雨の音がしていた。