ハコイリムスメ。
だけどそれでも、手は放さなかった。



よくわからないけど、放しちゃいけないような気がしてならなかったんだ。

変な話だよなあ?
昨日出会ったばかりなのに、何考えてんだろう俺。



天井の扇風機がプルプルと空気をかき混ぜる。
全く無いよりはいいけど、って程度。
気休めくらいのもんだ。


それよりクーラーの設定温度を下げてくれた方がありがたい。




俺が難しい顔をしていたんだろう。葵の色素の薄い瞳に俺自身の顔が映ったので俺はそのことに気づいたわけなんだけど。

それで、葵はまた不思議そうに首をかしげる。
癖なのかもしれない。



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