【短】溺愛ショコラ
――彼氏の会社がある最寄りの駅前。
私は残業がもうすぐ終わって上がれそうだという彼氏を待っていた。
まだかな、まだかな
私は彼に会えるというドキドキとウキウキで、じっとしていられず、キョロキョロと周りを見渡す。
彼は2歳年上の営業マン。
人当たりがよくて、優しくて、紳士で。
こんなちんちくりんな私を、女性として扱ってくれた大人の男性。
仕事を楽しいと言えるところも、いつも忙しいのに会った時には私を気にかけてくれる所も大好き。
『茉子っ!』
「っ、――圭司さん!」
斜めから掛かった大好きな人の声に、今まで溜まっていた疲れも吹き飛ぶ。
『ゴメンな、遅れて。誰かに絡まれたりしなかったか?』
「ううん、大丈夫。」
頭の上に置かれた手の温もりに、私の頬は垂れっぱなし。
『じゃぁ、行こうか。』
「うんっ」
久しぶりのデート。
今日も、彼と幸せな一日を過ごすと思ってた。