海と空と、太陽と
次の日の放課後。

「栞奈!」

「あ、基羅…」

「ちょっと着いてきて欲しいとこがあんだけど」

基羅はそう私に言う。

「えっ、うん…」

私の返事を聞いて私の手を掴む。

その掴まれた手がすごく大きくて優しい。

前と全然違う。

「入って」

そこは屋上だった。

そして、先にいたのは花野マミだった。

「基羅、なんで私が待たされなきゃ…」

その言葉は私を見て途切れた。

「ごめん」

基羅は水野マミに謝る。

「…なに。二人して私に何の用」

基羅は水野マミの前に立つ。

私もその後ろに続く。

「急に呼び出してごめん」

「…」

「…俺たち別れよう」

「えっ…」

「ごめん」

「…なによそれ。基羅が私を好きだって言ったんじゃ…!!」

嘘だもん…

基羅は私に嘘なんかつかないもん。

無理矢理だって。

花野マミが脅したんでしょ??

「…俺もう、好きな奴出来たから」

基羅はさっきの発言に対して何も言わなかった。

「…私と別れたらその子、またいじめられるよ??」

花野マミは私をちらっと見てそう言う。

「あぁ。いいよ」

え??基羅??

「へえーいいんだ」

「もう逃げない。俺が栞奈を守るから」

それからもう、私は覚えてなかった。

ただ、嬉しくて…

泣きそうで。

私が気づいた時にはもう、屋上に水野マミはいなかった。

帰り道。

「基羅」

私は足を止める。

「…ん??」

「…さっきの守るって、どういいこと??」

「言葉通りですが」

基羅はそう言って私の手を取る。

「…なんで敬語…」

「いや。…とにかく栞奈」

「は、はい…」

「俺のそばにいろ」

「へっ!?」

今とんでもない言葉が聞こえたような…

「じゃねーと守れねーよ??」

「…はい…」

それから私の心臓はバクバクで。

なのにちらっと基羅に目を向けるといつもどおりで。

私だけ顔がずっと赤かった。

「また明日な」

「…は、はい」

なぜか私も、

「なんで敬語」

敬語になっちゃって…。
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