清掃員と経営者

翌日ーーーー。

すっかりストレスも発散して出勤した。
いつも通り社員証を見せエントランスを抜ける。エレベーター待ちの列はうんざりする程長く瑠美は並ぶのを諦め階段へ向かおうとした。


「村上さん!」


その声に「へっ?」とゆっくりと振り向くと可愛い顔をした男性が走って近づいてきた。


「おはようございます。昨日は川瀬がすいませんでした。俺も一緒に居たのに、あいつ酒が入ると……」


そこには昨夜バルで声を掛けてきた川瀬と同席してたらしい坂本だった。

彼も営業課で可愛らしいルックスに仕事も誠実らしい…と噂で評判の1人だった。


「おはようございます。私達もすいません、せっかく誘って頂いたのに。あ、階段なので…」


やんわり階段へ向かうと坂本が「俺も」とついてきた。
そのルックスからしても人気があると思われる男性と一緒に居るなんて、今日の昼休みは面倒臭いな。なんて思いながら階段を上る。


「村上さんは仕事帰りによく飲みに行くの?」


爽やかな笑顔で尋ねられた。


「週に2、3回ですかね。お財布と体調と気分が合えばって感じです。」

「俺も。営業課って時間も予定も決まってないからあの時間にあの場所でってのは凄い偶然だよ。」


坂本がそんな事を言えば7割の女性はときめくだろう。
瑠美も少しドキドキしてきた。
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