清掃員と経営者
坂本と一緒に階段を上り、3階を過ぎた頃には息も上がってきて…
「はぁ、はぁ…。」
瑠美のドキドキの原因は運動不足だった。
「村上さん大丈夫?」
「…運動不足です。昨日のお酒もあるかも。」
「じゃあ明日から出勤はエレベーター禁止だな。」
笑いながらからかわれた。
しかもその笑顔は眩しく爽やかだ。
なんとか4階に辿り着いた瑠美は、軽く会釈をして坂本と別れた。
営業課は6階なので、坂本は更に2階も上る事になる。感心しながらデスクに向かうと声が掛かる。
「ちょっと〜!いつの間に?坂本さんと同伴なんて羨ましいっ!」
「えっ?あっ!違う違う。エントランスでバッタリ会ったの。」
契約社員仲間は羨望の眼差しで瑠美と坂本の出社を見ていたが、女性社員達にはあまり快く思われてない様子が感じられた。
だか、仕事が始まってしまえば朝の一時の事なんて忘れる様に忙しく、いつも通りに終わっていた。
その日から週に2、3度出社時に坂本から声を掛けられる事があった。
たわいもない話や何人かで飲みに行こうと誘われたり、会社の知人として他意はないと思っていたので瑠美はあまり気にせずに対応していた。