清掃員と経営者

「おはよう。村上さん毎日楽しそうね。今日も坂本さんと一緒だったの?」


そこには瑠美の出勤を待ち構えてた様ににこやかな笑顔の女性社員が待っていた。


「おはようございます。あ、坂本さんとはロビーで……」

「へぇー、羨ましい。最近浮き足立ってると思ったらそういう事なんだー。」


その女性社員は棘のある言い方で言葉を被せるように言ってきた。何かに苛立っている様子が窺えるが、理由がはっきりしない。
キョトンとする瑠美に、


「契約社員だって社会人なんだから常識を持って行動してね。」


冷静な言い方だがクギを刺すような物言いで女性社員は自席へ戻った。

その頃からだろうか、瑠美の周りで「いつも通り」だった事が少しずつ変わり始めた。

それは小さな始まり。
デスクに付箋での伝達事項が少なくなった。そのせいで支店からのやり取りに支障が出てしまい係長や支店長に注意されたり、休憩室や給湯室の掃除を頻繁にやらされたり。

挙句には社員食堂やお手洗いで瑠美とすれ違う女性社員達に「サイテー」と小声で言われたり、外線の折り返し連絡を女性社員へ伝達したにも関わらず「聞いてない」と言い「外線には出ないで」など、仕事にも相当な影響が出てきてしまった。
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