清掃員と経営者

「連絡先、教えとくね。」


数人のグループで飲みに行こうと誘われ、瑠美の同僚の希望もあり承諾をした。

そして飲み会も営業課の男性陣に社内の事や取引先の事など色々聞いて、なかなか有意義な時間を過ごせたかなと瑠美は思っていた。

それからは少しずつ坂本との仲も縮まり
業務以外では、

「瑠美ちゃん」
「翔太くん」

と呼び合う事も不思議では無くなっていた。
仲の良い同僚からは「坂本さんって瑠美の事気に入ってるよね〜」とからかわれ、「そんなことないよ〜」なんて返していたが、実際は最近の坂本は頻繁に瑠美を飲みに誘ったり、業務連絡を口実に社内でも積極的に顔を合わせる事が増えてきていた。

だが特に言い寄られてる訳ではなく、相変わらずの爽やかスマイルで仕事や趣味の話をする事が多く、それがむしろ好感触だった。

恋愛経験の少ない瑠美にとっては、数少ない「友達」のカテゴリーに属する存在なのかもしれない。

しかし2人の距離が近付く事をよく思わない連中が瑠美の知らない内に動き出していた。

それはある日の朝、坂本と階段で出勤してからの事だった。

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