清掃員と経営者
「それと、皆さんには清掃業務とその他に社内の内情を…つまりES【“Employee Satisfaction”(従業員満足度)】に関する業務を兼任して頂く事になります。」
瑠美は茜と見合って頭を傾げる。
「社内環境を向上する事で業務効率を上げ、CS【Customer Satisfaction)顧客満足】へ繋げる。上役の方々が非常に重要視しており各部署でもESの向上に務めてはいるものの、実際は細かい所まで手が届いてないのが現状です。」
先程の少し自信なさ気な態度から一変、猫背気味ではあるが頼れる主任っぽく見えてきた。
「三田さんと村上さんには各フロアに清掃員として出入りしつつ、社員の雑談や行動などに耳を傾け目を凝らして、報告して頂きたいのです。」
ここまでの業務内容を聞いて、茜が疑問を問いかけた。
「大体の内容は判りましたが、どの程度のレベル迄が報告対象になるんですか?」
「概ね全て…としておきましょう。相田さんが精査しますので、作成後に共用ファイルで確認して下さい。」
そして環はかなえに「後はお願いします」と言って退室した。
「それでは、これよりお二人の質問を聞きますよー。あ、瑠美ちゃんはお茶入れて。茜ちゃんはホワイトボード用意して。私は資料を持ってくるわね。」
かなえは手をパンと鳴らし準備を始めた。