血の記憶
「あ、そういえば雨降ってたんだっけ?」
その声に外へと目を向ける。
外は雨の形跡を残しながらも少し日がさしていた。
「……いつの間にかやんでたのね」
隣で翔真が少し驚いた顔をしている。
大分、間抜けだけど大丈夫かな?
「じゃあ今から行こう!」
そして未だ繋がれていた私の手をグイッと引っ張った。
その力強さに少し胸が弾んだ。
嫌な感じではなく、暖かい鼓動だった。
なにこれ?
突然感じた違和感を不思議に思いながら私は翔真に引きずられていった。