血の記憶





アパートをでた後駅へと歩いていく翔真。

手は未だに繋がれたままだ。



「ねぇ、どこに行くの?」



駅に着いた頃聞いてみた。


ここまで黙って着いてきたけど場所言われてないんだけど。


そんな私の不満を読みとったのか申し訳無さそうにしながら切符を買う。



「ごめん、言ってなかった。今から行くのは俺の母校」



母校って……


菜央さんと一緒だった中学?


なんでそんなところに?



「あいつに報告しなきゃいけないことがあるんだ」



そう言って私の方を振り返り笑顔を向けた。


その顔は優しくて


暖かかった。


私の言葉が翔真を変えることができたのかな?


そう考えると少しだけ嬉しくなった。


それと同時に繋がっていることに慣れてきた手が急に恥ずかしくなってくる。



< 134 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop