君が嫌いで…好きでした

ちゃんとご飯を食べるの久しぶり
最近は野菜ジュースばかりだったから…


先生にも言われてるからちゃんと食べなきゃいけないんだろうけど…

食べる気分でもない…


ご飯を食べ終えるとまた本を開いて読書

読書してる時が一番好き
何も考えなくてすむから…


1ページ1ページゆっくり読み進めていく



千菜「……っくしゅん…」



「………風邪引くよ」



聞き覚えのある声……
見上げるとそこには七瀬奏叶が立っていた


……なんでここに居るの?
普通ならこんな雪の中、外に出ようなんて思わないのに…



「こんな所で食べてないで中に入りなよ」



千菜「………貴方には関係ないでしょ。ほっといてよ」



私はまた冷たく言い放った



奏叶「…ほっとけない」



千菜「……どうして」


どうして私はこの時聞き返してしまったのだろう


奏叶「俺は千菜が好きだから」



私は机に本を叩きつけた


千菜「いい加減にして!そんな事言われても迷惑!これ以上私に関わらないで!」


自分が酷い事を言ってるのは分かってる
私だってこんな事言いたくない
だけど…私に関われば必ず後悔することになる


そうなってからじゃ遅い
そうなってほしくないからずっと1人で居たのに…


また…あんな思いをしたくないから!


関わりたくない
お願いだからこれ以上私に関わって来ないで…!


奏叶「…それは無理
千菜は噂を気にしてるみたいだけど俺はそんなの怖くない」



………何言ってるの…この人…



奏叶「……怒らせるつもりじゃなかったんだ
今日はもう戻るよ。あとこれあげる」


奏叶は私の前にコトッと何かを差し出した
差し出されたのは温かい白いココア


なにこれ…と思いながら奏叶を見た



奏叶「好きでしょ?これ
じゃぁまたね。風邪引かないようにね」



…………なんなのあの人
これを渡すだけの為にこんな寒い中こんな所まで来たっていうの?


……馬鹿みたい…


…………またね…か
あの人全然懲りてない…


それに…これ私の好きなやつ……
なんで知ってるの?


…………私の事…好きだから……?




……………馬鹿みたい


私はココアにそっと手を伸ばして頬にあてる



千菜「………温かい……」



きっと寒いせい
こんなに温かく感じるのは…
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