君が嫌いで…好きでした


湊「はーうまかった。たまにはこういうのもいいかもな」


奏叶「じゃそろそろ駿府城公園に行こっか」


席を立って会計に向かう
私は鞄からお金を払おうと思って財布を取り出した


奏叶「あ、いいよ。俺が払うからさ」


千菜「え…でも…」


奏叶「いいから。ここはかっこつけさしてよ」


千菜「………」


湊「…んじゃお言葉に甘えて。千菜先に出てようぜ」


湊はいたずらそうに笑って私の手を引いて店の外へ


奏叶「は!?おい湊!お前は自分で払えって!おい!」


湊はお構いなしに外に出た
その数分後に奏叶も会計を済ませて出てきた


湊「かな、ごちそうさん♪」


奏叶「お前な…今度何か奢れよ」


湊「考えとくわ♪」


奏叶「はぁ…なんで俺がお前の分まで…」


千菜「奏叶…ありがとう…」


奏叶「ん?いいよ気にしないで。俺がそうしたかったんだし」


湊「早く駿府城公園行こうぜ~」


奏叶「お前はいつだって自分のペースだよな…行こう千菜」


差し出された奏叶の手に恐る恐る手を重ねた
奏叶の手は暖かくて心地が良かった


そして私達は駿府城公園へ


湊「ふあーぁ…なんか桜見てっと眠くなるよな」


奏叶「なんでだよ。でも城と桜の組み合わせって意外に合うもんだよな。どう千菜?」


千菜「うん…すごく綺麗」


奏叶「良かった。この駿府城はね二重の塀と綺麗な石垣に囲まれた公園で、俺達もよく知る歴史上の人物、徳川家康が天正13年に築城して大御所として晩年を過ごした駿府城の遺構なんだって。

園内には家康の銅像とか4つの庭で構成された日本庭園と茶室を備えた紅葉山庭園なんていうのもあるんだって
他にも4月4日、5日には夜桜も楽しめるお祭りもあるし、秋には紅葉も楽しめるんだって」


千菜「へぇ…家康の…歴史深い公園なんだね」


湊「すげぇな。そこまで調べて言えるなんてよ。俺にはただの城だわ」


奏叶「歴史を知るのって面白いだろ?」


湊「俺には理解できねぇわ」


奏叶「すごい綺麗だな…折角だしさ写真撮らない?」


湊「は?女子かお前は」


奏叶「いいだろ別に…折角3人で来たんだし想い出に残るだろ?」


湊「へいへい、1枚だけだからな」


写真…
何回もお葬式を繰り返す度に写真は私にとって遺影みたいなものだと思い込むようになっていた


湊「おい千菜、早くここ来いよ」


奏叶「千菜大丈夫だよ。怖いことなんか1つも無いからさ」



奏叶の言葉を信じて私は自分の場所に立った

背景には駿府城と淡いピンク色の桜
まるで普通の高校生みたいに…
今までの出来事が悪夢だったかのように新しい想い出が増えていく


奏叶「はい撮るよー」


パシャ…


奏叶「うん、OK。後で送るね」



きっとこんな瞬間は2度と戻ってこない
だから今が一番輝いて見えるのかもしれない


その後桜を見ながら公園内を歩いた



奏叶「ちょっと休憩しよっか」


私達は近くにあったベンチに腰を掛けた


湊「俺、トイレ行ってくる」


奏叶「あ、俺も行く。千菜は?」


千菜「ここで待ってる…もう少し桜見てたいから…」


奏叶「そっか、すぐ戻るから待ってて」


千菜「うん」



ベンチに腰掛け淡い空と桜を見上げた
気持ちがすごく落ち着いてる…
こんな気持ち今までなかった

楓にも…この桜は見えているのかな…


その時私に声をかけてきた人がいた


「あれ?もしかして千菜ちゃん?」



千菜「―――…凜ちゃん…」
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