小さなキミと
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「……そっから田辺とは気まずくなって、前みたいに話せなくなって。
2年でクラス離れたから、物理的に関わる機会も減ったし。
で3年でまた一緒になったけど、その頃にはもう、お互いつるむ相手変わってて」


言いつつあたしと目を合わせ、また俯く。


話しながら、幾度(いくど)となく服部はこれを繰り返していた。


「田辺、県外の高校行ったっぽいからアイツとはそれっきり」


“ぽい”というところに冷え切ってしまった友情が見え、あたしにはそれが切なかった。


彼が女子を無条件で毛嫌いする理由が、やっと分かった。


突拍子もない思い出話を始めたのかと思いきや、それは悲しい恋の話だった。


「女って、見かけによらないから怖い」


あ、まただ。


目が合うたびに、こっちまで胸が締め付けられる思いだった。


なんせ、こんなに辛そうな服部は見たことがない。


そして、このタイミングで話は途切れた。


……やっぱり分かんないよ、服部。


何であたしにそれを?


こんな時にかけるのにふさわしい言葉なんて、あたし知らないよ。


大変だったね、その女サイテー、みたいな安っぽいのしか思いつかないよ。


その時、あたしは手を握りしめていた自分に気づいた。


そうだ、言葉じゃなくていいのなら。


蕁麻疹の話を改めて聞いたばかりで怖いけど、服部あたしなら大丈夫って言ってくれたよね。


一歩、二歩、と少しずつ服部に近づいて、


また俯き加減になっていた彼の頭に、そっと触れた。


ビクッと肩が跳ねたのは、きっと驚いただけだ。


だって彼は逃げなかったから。

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