小さなキミと
身長差で女子の方が勝ってたって、悪いことばかりじゃないのかも。


普通だったら女子が男子にこんなこと、楽々になんて出来ないし。


それにしても、意外とサラッとしてんのね、髪。


服部ってやっぱワックスとか付けてないんだ。


っていうか、付けてたらこんなんされてジッとしてるワケないよねぇ。


人様の頭をくしゃくしゃにしながら、あたしはそんなことを考えていた。


最初は慰めるつもりでやんわり撫でていたけれど、服部があまりにもされるがままだったので、調子に乗ったのだった。


と、さすがにイラついたのか彼はあたしの腕を掴むや、


思いきり引っ張った────しかも真下に。



完全に虚(きょ)を突かれ、バランスを崩しかけたところをすかさず抱き留められた。


誰に、だなんて考えるまでもない。


もうビックリどころの騒ぎではなかった。


あたしは目をしばたたいた。


自分のものとは別の、ものすごく速い心臓の音が聞こえた。


嘘。だって、そんなまさか。


否応(いやおう)なしに湧き上がる期待を、片っ端から押さえつける。


そんな最中(さなか)、耳元で深めの呼吸が聞こえて思わず飛び退きかけた。


ゾクッとした。よく分からないけどゾクッとした。


背中に服部の腕が回っていなければ、本当に飛び退くところだった。


「オレやっぱ……」


絞り出された小さな声に、あたしの心臓が跳ね上がる。



「お前のこと好きだわ」

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