小さなキミと
えっ、髪?


思いがけない忠告に、あたしは面食らった。


確かに、あたしの髪はスポーツをやるには少々長すぎる。

高い位置で一つにまとめてはいるけれど、それでも毛先が肩に当たってしまう程だ。


「まー、そうかも。そのうち切るよ」


髪をのばしている理由を教える義理はないので適当に答え、

ネットの端にダランと垂れ下がった、一番下の2本の紐を手に取った。


「はい、どーぞ」


そう言って服部に差し出す。


「は? お前やれよ、オレ巻き上げで疲れてんだけど」


生意気にも、服部は紐を受け取ろうとしない。


まぁ、そうくるだろうと思ったけどね。


「えー、力仕事を女の子にやらせる気ですかぁ? 服部くん」


あたしが口をとがらせると、服部はバカにしたように鼻で笑った。


「お前のどこが女の子」


「コラッ!」


突然割り込んできた叱咤(しった)の声に、あたしと服部は反射的に顔を向ける。


知らない間に、背の高い強面男子があたしたちのそばに立っていた。


多分180㎝は軽く超えているだろう。

ガッチリした身体つきの上、ゴツゴツと骨ばった顔立ちをしているから、格好が違えば先生と間違えそうだ。


「神田(かんだ)先輩……」


服部が、バツが悪そうに言った。


「服部、お前なにバカなこと言ってんだよ」


神田先輩と呼ばれたその人は、あたしから紐をひったくって服部に押し付けた。

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