小さなキミと
ぶんむくれるあたしの元へ、ペットボトルを振りながら服部が近づいて来た。


「いるの? いらねーの?」


「……いるっ」


答えた直後、ペットボトルが弧を描いて飛んできた。


両手で受け止め見てみると、それは炭酸入りのジュースで。

透明のペットボトルの中には大量の泡が発生している。


こんのクソガキ……。

ホント、生意気なことばっかりしてくれるよね……。


いつもなら文句の一つや二つ言ってやるところなのに、

ちょっと嬉しいっていうこの気持ちはどういうワケなんだろう。


あたしヘンだ。

本格的に頭がおかしくなってる。


「お、奢ってくれて、どうもアリガトゴザイマス……」


小さな声でそう言ったあたしを見て、服部は不思議そうに首を傾げた。


「剛、なんか嫌に素直だな。不気味ー」


「そっ、そんなことないし……」


あたしは顔を俯(うつむ)けた。


もー! なんなんだ一体これは!

調子狂いまくり!


いつまで経っても心臓が元通りにならないし。

これ以上服部と一緒に居たら、心臓が破裂して木っ端みじんに吹っ飛びそう。


あたし頭大丈夫かなぁ……


「ごうー?」


ヒョイ、と服部が身を屈(かが)めてあたしの顔を覗き込んで来たものだから、さあ大変。


本当に心臓が木っ端みじんになった。


そう感じるくらいドッキリしてビックリして大声が出て、

のけ反った拍子に足をもつれさせてしまい、体が後ろへ大きく傾き、バランスを取れなくなって────

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