小さなキミと
驚いた服部が、咄嗟に伸ばした手。

反射的にその手首を掴んだ直後、視界は反転した。


尻や背中に感じた強い衝撃、痛み────と同時に、重い物体があたしの身体を押しつぶした。



……痛い。重い。

なにがどうなってんだ。


一瞬記憶が飛びかける。

だけどすぐ、ハッと我に返って重みの正体を思い出す。


「いって……」


あたしの耳元のすぐそばで唸(うな)った誰かが、ムクリと顔を起こす気配がして。


自然と、吸い寄せられるように、あたしはそちらに顔を向けて。


あとちょっとでキスできそうなくらいの、超至近距離で。


服部と、目が合ってしまった。



動きを止めた服部が、ほんの少しだけ目を見開いた、ような気がした。


あたしは、頭の中が真っ白になって何も考えられなくなった。


ただただ、じぃーっと服部の意外と大きな目を見つめた。


クリッとしていて、少し垂れ目気味で、だけど目じりはキュッと上がっていて。

その形は何だか、小猫の目を連想させた。


カァッと自分の顔が熱くなったのを感じる。


と、服部はすぐにフイッと目を逸らし、「……わり」と短く言ってあたしから離れた。


……しまった。


ヤバい、服部は女が苦手なんだったーーーー!

あたし自分の事でワケ分かんなくなってて、すっかり忘れてた!


「ご、ごめんね服部!」


勢いよく起き上がったあたしは、服部から3メートルほど離れた場所へすっ飛んだ。

< 77 / 276 >

この作品をシェア

pagetop