マネー・ドール -人生の午後-
 ケーキを食ってる間も、藤木はエロい顔で真純の機嫌をとって、山内はキザに口説きモードに入っている。
 なんなんだ、こいつら……これじゃあ、田山が増えただけじゃないか! もう帰れ!

「今、相田一人かよ」
「ええ」
「大丈夫か? あいつ一人で」
「大丈夫でしょう」
 ヤロウ二人は俺の話など聞かず、真純にデレデレデレデレしている。
「真純さん、今、素顔ですよね?」
「あっ、そうなの。忘れてた……どうしよう……」
「いえ、とってもおキレイだから、ビックリしました」
「やだあ、山内くん!」
「ほんとにキレイですよねえ。スーツもいいけど、そういうワンピースも……カワイイです」
 藤木、お前は、おっぱいしかみてねえだろ。
「山内くんも、藤木くんも、お上手ね」
「お世辞なんかじゃないですよ。僕はお世辞を言わない主義ですから」
「ぼ、僕もです!」
 はあ……お前ら、早く帰れよ……
「おい、お前らさ、一応、まだ仕事中だろ」
「まあ、そうですね。じゃあ、真純さん、そろそろ失礼します」
「うん、来てくれてありがとう」
「来月から、会社に行くのが楽しみです」
今は楽しくねえのかよ!
「うん。私も、楽しみ。よろしくお願いします」

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