チョコレートのように
しばらく歩くと、木陰に女の子を見つけた。

「君、こんな時間に何をしているの?」

俺は思わず聞いた。

「お兄さんこそ何をしているんですか・・・・?」

顔を女の子はそっと上げた。

でも、素顔は見えない、真っ黒な仮面をしていた。

暗いから、黒く見えるかもしれないが、きっと真っ黒だ。

「お母さんに家を追い出されてさ・・・・・・」

「そうなんですか・・・・私もです。気色悪いって言われて。お友達はいるけど、昔のことだし、お金を持っていても私は仮面をしているから入れてもらえない、だといって、外すのは嫌で・・・・」

女の子は震えた泣きそうな声で話した。

「俺もそんな感じ。友達いないし。でも、金は持ってないんだ。」

「まぁ!じゃあ、私どうせ使い道ないので、このお金あげます!」

そういい、女の子は一万円のお金を差し出してきた。

一万円あれば、一ヶ月は生き延びられる。

「そ、そんな!申し訳ないよ!」

「いえ、いいのです。動物は弱いものから死んでいくのです。貴方と最後にあえて、それで満足です。」

「・・・・・・」

俺はありがとうと言うと、女の子は満面の笑みでこちらこそと言った。

「じゃあ、な・・・・」

「また会えたら会いましょう。」

俺は森から抜け、ホテルにまず入った。

そして、部屋を借りると、大きな袋を取って出かけた。
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