心も体も、寒いなら抱いてやる
10分も走らないうちに細い脇道が見つかった。

確かに上から見渡す限りでは、こちらを抜けた方が直線コースで早くつきそうだ。

脇道を少し入ったところで車を止め、借りた合羽を羽織った。

傘と懐中電灯をもって外にでる。

ザーッという雨の音が体を包む。目の前に続く木に覆われた真っ暗な細い道。

こんなところ、平常心なら一人で降りられるはずがない。

恐怖心より太一を心配する気持ちの方がよほど勝っていたのだろう。

俊は、焦りながらこの道を降りていくみのりの後姿を想像した。

合羽を着て傘をさしていても膝から下はすぐにびしょ濡れになり、水に浸ったスニーカーが重く、ぐしゅぐしゅと音を立てる。
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