心も体も、寒いなら抱いてやる
お母さんは勝手じゃないよ。

身勝手なのは私だ。

なんで新宿で父を見かけたときに追いかけて声をかけなかったのだろう―――。

なんで父の電話を取らなかったのだろう―――。

なんで父に電話をかけなおさなかったのだろう―――。

私は父と話す機会を、父が私の誤解を解く機会を、父と仲直りする機会を、すべて自分の浅はかで幼稚で短絡的な考えで放棄してしまったのだ。

仲直りしないまま、父は死んでしまった。

みのりは母のベッド脇のパイプ椅子に座り、背中を丸めて泣き続ける母の姿をただぼんやり眺めていた。
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