心も体も、寒いなら抱いてやる
エピローグ
桜の花がすっかり散って、青葉が艶やかに光っている。

俊は大学に通いながらモデルを続け、同じく大学生となった太一は、たまに田口のアシスタントとして、ルカの撮影に付いていくようになった。

外資系企業の入社を目指して花蓮が英会話を習い始めると、いつかルカの海外ロケについていくかもしれないと理由をつけて、太一も一緒に習い始めた。

英語力のレベルが違うため、花蓮とは違うクラスにもかかわらず、太一はなるべく花蓮と同じ時間帯のクラスで受講し、授業を終えると一緒に帰る。

「ねえ、花蓮さん。なんで俊はみのりがいいのかなあ。日本中の女が俊に、いやルカに抱かれたがっているのに、弟の俺が言うのもなんだけど、みのりってフツ―じゃん」

太一は横に並んで歩く花蓮に尋ねた。
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