心も体も、寒いなら抱いてやる
花蓮は自分よりも20センチも背が高い太一をちらっと見上げて「ねえ、中一の時にみのりがバレンタインのチョコを俊にくれたの覚えてる? 太一君とおそろいの」と、尋ね返した。

「ん? ああ、あの超フツ―のださいハート形のチョコね」

太一はみのりからもらったそのチョコレートを鞄に入れたまま塾に行き、帰りに「腹減った」とつぶやいた友達にあげてしまった。

一応手作りだというそのチョコレートには、でこぼこした表面に自分の名前が彫ってあって恥ずかしかったのを覚えている。
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