心も体も、寒いなら抱いてやる
俊は太一の助言通り都内にある有名私立中学に編入した。

自分だけが逃げたという気持ちがぬぐいきれず、太一に連絡を取ることができなかった。

一人で耐えているとわかっているのに、大丈夫か? と聞けなかったし、おかげさまで僕は平和にやってるよ、なんて卑怯すぎて口が裂けても言えなかった。

太一は太一で、自分からは俊に連絡が取れないでいた。

「もう、うんざりだ」なんて嘘でも言ってしまった以上、俊はきっと怒っていると思っていたからだ。

こうして俊と太一は互いに互いを思い、親友なのに関係を閉ざしてしまった。
< 46 / 209 >

この作品をシェア

pagetop