心も体も、寒いなら抱いてやる
中2の後半からの途中編入。

俊の新しい学校は規律が厳しく、佐伯たちの様な生徒もいなかったが、逆に変な時期に転校してきた俊に積極的に近づいてくるクラスメイトもいなかった。

“何か問題があったらしい。聞きたいけど聞きにくい”

そんな感じで皆、腫物を囲むようによそよそしかった。

それにすでに高校受験へのレースは始まっていて、皆そのことで頭がいっぱいで、転校生どころではなかったのだ。

そんな環境の中で、俊も友達を作らない分、勉強に集中した。

そしてその春、有名私立大学付属高校に合格し、編入先の中学で一人の友人もできないまま中学を卒業した。

闊達で明るかった時代の俊をどこかに置き去りにして――――。

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