心も体も、寒いなら抱いてやる
化粧室で待機していたヘアメイクもスタイリストも男性だった。

「マキでぇす。よろしくぅ」と、少ししなって名刺を渡してくれたヘアメイクのマキさんは、Tシャツに黒のジーンズ、短い髪を少し立たせた様相は一見、30代のいい男風。

でもしぐさと言葉使いから、高いおねえ度がにじみ出ている。

一方スタイリストの谷さんは20代後半くらいか。

若い、もしくは若く見える。

華奢な体に、シャツもジャケットもパンツもルーズに決めている感じはいかにもスタイリスト風。

ヘアメイクとかスタイリストといったアーティスト系の仕事をしている人はもっと派手な人かと勝手に思い込んでいたが、案外普通だった。

「あら、ルカったら今日は前髪止めちゃって、可愛いじゃない♥」

マキさんがキャッキャしながら話しかけるが「ああ……ちょっとうざかったんで……」と、俊のテンションは相変わらず低い、暗い、無愛想だ。

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