心も体も、寒いなら抱いてやる
「いつもながらルカの撮影はスーパーエクスプレスね」

「神がかり的にポーズが決まって無駄がないからな」

と、周囲の興奮がまだ冷めやらぬなか、俊は化粧室に戻って来た時のスエットに着替えると、同時に「ルカ」のすべてを脱ぎ捨てて、「それじゃお疲れ様でした。有難うございました」と、マキさんと谷さんにあいさつをして化粧室を出た。

この変身ぶりも、かなりの神がかりぶりだ。

スタジオで待っていたみのりは、ちょっといい男風&エロさ香る新田というカメラマンから目をつけられていた。

「君、新しいマネージャーさん? いくつ? え、まだ大学生?いいねえ。みのりちゃんていうんだ。可愛いじゃない。もろ俺のタイプ。今度デートしようか」

こういうのはこうした世界の人たちの社交辞令のようなものだろうと、みのりは「あ、はい。有難うございます」と一応作り笑顔でかわすが、「えー、本当? じゃあ今度、本当に飯でも食いに行こうよ。俊には内緒でね」と、新田は気安くみのりの肩を抱いた。
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