心も体も、寒いなら抱いてやる
社長から渡された春休み中のスケジュールはほぼ毎日埋まっていたが、ロケ以外での高速時間はそれほど長くない。

俊の仕事が遅くならないときには近所の飲食店でのバイトも追加した。

教授のバイトもそれから深夜まで地道に行っている。

少しでも休みの間に働いて、授業料を蓄えるつもりだった。


この日は3回目のフォトブックの撮影の日だった。

みのりは朝早くに家を出て、俊を迎えに行く前に、入院して抗がん剤治療を始めた母の顔を見に病院に立ち寄った。

髪が抜け落ち、ひどい吐き気とだるさに襲われて、つらそうな母の様子を見ると朝から不安で気持ちが沈んでいった。

睡眠不足が続いているせいか鈍い頭痛がするし、母の病気や離婚話がストレスとなっているのか、ここのところ食欲もない。

「いけない、いけない。こんな暗い顔してたら、俊くんと2人、影法師みたいになっちゃう」

みんりはパンパンと両手で軽く頬をたたいて、笑顔を作った。


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