琥珀の記憶 雨の痛み
今私が喜び過ぎたら母は、今日揚げたてを出した自分を褒めるのではなく、今まで揚げたてを出してこなかった自分を責める。
根本原因まで突き詰めて考えて、父親がいないことを――離婚した過去を責める。
そういう人だ。
真面目すぎて。
周りではなく、全部自分のせいにする。
もしかしたら突き詰めすぎて、私を産んだことも後悔したことが、母にはあるのかも知れない。
そこまでは、考えたくもなかった。
滲み付いている。
母のそういった性質が、私にも。
多分、よく似ている……悪い意味で。
自分でもそれを、たまに感じる。
「うん、美味しい」
揚げたての春巻きは、いつもよりも美味しかった。
パリパリの皮が唇の端を攻撃するみたいに刺さった。
母が私にくれる、精一杯の優しさと愛と――、そして、隠し切れない痛みの味がした。
母はダイニングテーブルの向かいに座ったまま、じっと黙って私の食事の様子を眺めていた。
話をするつもりで向き合ったのに切り出しにくいのか、私が食べ終わるのを待っているのか。
「お父さんが、どうかしたの?」
居たたまれなくなって先に話に触れたのは、私の方だった。
母は気遣うような視線を寄越した。
『食べ終わってからでいいのよ』と言われた気がしたけれど、私は箸を止めないことで、『気にしないから大丈夫』と伝えたつもり。
こういう無言の会話は、母娘だから成立するのかもしれない。
母は、静かに話し始めた。
根本原因まで突き詰めて考えて、父親がいないことを――離婚した過去を責める。
そういう人だ。
真面目すぎて。
周りではなく、全部自分のせいにする。
もしかしたら突き詰めすぎて、私を産んだことも後悔したことが、母にはあるのかも知れない。
そこまでは、考えたくもなかった。
滲み付いている。
母のそういった性質が、私にも。
多分、よく似ている……悪い意味で。
自分でもそれを、たまに感じる。
「うん、美味しい」
揚げたての春巻きは、いつもよりも美味しかった。
パリパリの皮が唇の端を攻撃するみたいに刺さった。
母が私にくれる、精一杯の優しさと愛と――、そして、隠し切れない痛みの味がした。
母はダイニングテーブルの向かいに座ったまま、じっと黙って私の食事の様子を眺めていた。
話をするつもりで向き合ったのに切り出しにくいのか、私が食べ終わるのを待っているのか。
「お父さんが、どうかしたの?」
居たたまれなくなって先に話に触れたのは、私の方だった。
母は気遣うような視線を寄越した。
『食べ終わってからでいいのよ』と言われた気がしたけれど、私は箸を止めないことで、『気にしないから大丈夫』と伝えたつもり。
こういう無言の会話は、母娘だから成立するのかもしれない。
母は、静かに話し始めた。