臆病者の鬼遊び
「ああ、暑い……それにしても暑いわぁ……」
まっちは何ごとも無かったかのように、下敷きで煽いだ。
教室には、クーラーなど付いていない。
この学校にクーラーがついている部屋といえば、職員室と会議室などの『先生が使う部屋』くらいのものだった。
私達が熱中症になってもいいのか、と思っても、さすがは貧乏な公立高校。
教室にぐでーんとしている生徒は、窓から運ばれる生ぬるい風で我慢するしかないのだった。
まあ、それにはもう慣れた。
七海子は頬を膨らませつつ、髪を手櫛で整えた。
……まっちのスキンシップの多さは親密さに比例するらしかったが、
時々こうして予測出来ないイタズラに発展するので、ちょっと控えて欲しいところだった。
あまり、それを口に出して言ったことは無かったが。