想い焦がれるのは。
「わ、もうこんな時間!もう7時だよ千尋!帰ろう!」
「もうそんな時間なんだ!そうだね、帰ろっか。」
来たときは明るかった空が、もう真っ暗になっていた。楽しい時間はあっという間に過ぎるっていうのはほんとなんだな、と実感した。
「じゃあね千尋、目腫れたら困るから帰ったらちゃんと冷やすんだよ?」
「うん、ありがとう。なんかお母さんみたいだね。」
「今日から千尋のおかんですから!なんてね。じゃあまた明日ね!」
「また明日ね、お母さん。」
ふざけたやりとりをして、私達は別れた。こんな小さなことで笑えることに、私は大きな幸せを感じていた。今までの私だったら考えられないことだ。
「早く帰らないと。」
滅多に歌わない鼻歌を歌いながら、幸せな気分のまま家に帰った。