LOZELO
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気がついたら眠っていて、夜の検温のときに起こされて。
再び起こされたと思ったら、朝の検温に来た看護師さんだった。
体調は若干良くなっていた。
でも、朝はいつもトイレにこもってしまう。腹痛と共に。
血生臭さと現実に吐き気がこみ上げる。
何も口にしていないから、何も出てこないに決まってるんだけど。
トイレの前でばったり優奈ちゃんと会って、おはようよりも先に泣きそうな顔で"大丈夫?"と私の心配をする。
「看護婦さんに、紗菜ちゃん具合悪いから行っちゃダメだよって言われて、心配してたんだよ」
「今日は元気だよ。心配かけてごめんね」
優奈ちゃんが検査から帰ってきたことも気づかなかった。
しゃがんで頭をなでると、よかったぁ、とにっこり笑ってくれる。
「検査、どうだった?」
「神崎先生が"合格"だって!来週に退院できるって言ってたよ!」
「ほんと?よかったじゃん!」
すごく涙が出そうになった。
ただ純粋に、嬉しくて嬉しくて。
そんな私に、優奈ちゃんはにっこり笑って言う。
「今度は紗菜ちゃんが元気になる番だよ」
どうして、優奈ちゃんに言われると心に沁みるんだろう。
助けてくれるわけでもないのに、本気かなんてわからないのに。
病室に戻って、こっそり泣いた。
どうして泣いているのか。
そう問うても、自分は答えをくれなくて。
"自分のことに誰よりも敏感になってほしい"
江口先生の言葉が浮かんで、ふと涙が止まった。
それって、どういうこと?
改めて考えると意味がわからなくて、胸の辺りがもやっとしている。
自分のことだけ考えてたら、知らないうちに誰かを傷つけるかもしれないのに。
どんどんワガママになるんじゃないのかな。
今日は土曜日で回診が遅いらしい。
回診の時間まで考えたけど、結局答えは出なかった。