LOZELO
「莉乃がわざわざ私の家まで行って病院とか聞いて、来てくれたことに、正直すごくびっくりしてる」
ごめんなさいよりも驚きの方が大きい。
不思議だし、こんな時に不謹慎かもしれないけれど。
「病院行きなって言ってくれたのも莉乃だったのに。いつも一緒にいたのも莉乃だったのに。入院してからも、ずっと後悔してた」
「心配したんだから。もちろん、何も言ってくれなかったことのショックだって大きいけど、入院とか。しかも、こんな大きな病院に」
「…ごめん」
「ねぇ、どうして私に言ってくれなかったの」
正直な気持ちを言わないと、もっと莉乃を傷つけると思った。
「怖かったの。もう、帰ってきても私の居場所、なくなってるんじゃないかって」
「…バカじゃないの、紗菜」
ついに泣き出した莉乃は、化粧が落ちることも構わず、ぼろぼろ涙をこぼしている。
「紗菜は私の親友だよ!何を言ってもいい関係だし、誰よりも居心地いいって思えるし、私、紗菜に会うために学校行ってるようなもんなんだから!」
一日何時間、一緒にいると思ってんの!
言い放った莉乃は、きっと私の性格も、入院することを伝えられなかった理由も、わかっているんだと思う。
だから、こうして会いにきてくれたのだろう。
高校総体が近い季節。
土曜日はがっつり練習日のはずなのに。