心の中の彼

再開

精神科で診察を受けて

私は帰ろうとした時

子供とぶつかった。

「コラっ
ゆう謝りなさい」

「あっ
大丈夫ですから」

「ゆう謝りなさい」

「すみません
お怪我なかったですか」

「私は大丈夫です」

男性が近付いて来ながら

「ゆう又ママに叱られたのか」

「あなたゆうがぶつかったのよ」
「お怪我なかったですか」

「はい大丈夫です」

と男性の顔を見た瞬間

私は気を失い倒れた。

目を覚ますとその男性が

「大丈夫ですか?
先生呼びますね」

私は涙だけが溢れて

止まらなかった。

すすり泣きながら

「すみません
お名前教えて下さい」

「僕のですか」

「はい……」

「岩永かずきです」

「私と何処かで会った事
ありませんか」

「あーすみません
良く分からないです
すみません」

それからその男性は

連絡先を置いて出ていった。

私は先生に

「先生死んだ人が
よみがえる事があるの」

「心でよみがえる事が出来るよ」
私は家までの帰り道

涙だけが溢れ出した。

かずきなの?

本当にかずきなの?

名字が違っていた。

しかも結婚して子供いた。

かずきは死んだんだから別人?
私はいつの間にか

かずきの家の前に来て

チャイムを鳴らしてた。

「あらっ
美香ちゃんどうしたの」

「かずきいますか」

私は全く関係ない

近所に聞いていた。

「美香ちゃん
かずきって人はいないわよ」

「すみません」

私は公衆電話を探し

連絡先にかけてみた。

「もしもし」

「もしもしっ
あのっ
先程はすみません
迷惑かけて」

「いえっ
うちの子が
ぶつかったせいもありますから
気分はいかがですか」

「はいっ
もう大丈夫です」

「そうですか
妻も心配してましたから
安心します」

「ああのー
西区に住んでた時ありますか」

「すみません
ずっと東区です」

「そうなんですね
すみません変な事聞いて」

「誰かに似てるんですか僕が」

すすり泣きながら

「はい…
錯覚おこすくらいに
そっくりです」

「そうなんですね…」

「又電話してもいいですか」

「僕で良ければいつでもどうぞ」
「有り難うございます」

電話を切った後

涙だけが溢れ出した。

家に着くと

お母さんが心配そうな顔で

「美香
明日から働くのやめたら
母さん心配だよ」

「せっかく念願の美容師になれるんだよ
それに店長新しく代わるから
いじめとかもないよ」

「顔色悪いから心配よ」

「大丈夫
久しぶりに歩いたから
疲れただけ部屋で休むね」

私は部屋に入ると

かずきとのアルバムを見ながら

泣いた。

何でかずきはいなくなったの?

小指と小指と約束は?

それとも今日会ったのはかずき?
アルバムを抱きしめながら

いつの間にか寝てしまい

お父さんに起こされた。

「美香頼まれてた携帯
ここに置くよ」

「あっお父さん有り難う」

「体調悪いなら無理するなよ」

「大丈夫だよ
有り難うお父さん」

私は携帯電話を手に取り

説明書を見ながら使い方を

練習した。

次の日私は

携帯を持ち職場へ向かった。

職場に着くと仲間は

新しい店長で話が持ちきりだった
「ねっ
美香聞いた
今度の店長23才で妻子持ち
しかも超イケメンらしいよ」

「そうなんだ
だから騒いでるんだね」

「前の店長は親父臭かったから
超期待してるよ皆」

「確かにあの店長はないわアハハ」
社長と共に男性が入って来て

「今日からこちらで
店長勤めさせてもらいます
岩永かずきです。
どうぞ宜しく」

私は耳と目を疑った。

その人も驚いていた。

「あっ君
美容師さんだったんだね」

「先日は失礼しましたっ
今日から宜しくお願いしますっ」
と勢いよく頭を下げた。

「こちらこそ宜しくアハハ」

笑い方もかずきだった。

私はこうして

何も知らずかずきと再開した。


< 19 / 58 >

この作品をシェア

pagetop