心の中の彼

悲劇の始まり

外はどしゃ降りで

私はかずきの事が

心配でたまらなかった。

突然家の電話が鳴った。

「もしもし」

「美香ちゃん
かずきがね
事故にあったの今から迎えに…

その後の言葉は聞けなかった。

私はその場に

受話器を持ったまま

座り込んでしまった。

しばらくすると

おばさんが入って来て

「美香ちゃん」

「おばさんかずきが事故って
嘘ですよね」

「美香ちゃん落ち着いて
私も警察から連絡もらって
良く分からないんだけど
トラックに跳ねられたらしいの
だから病院行きましょう」

おばさんは

私を抱き抱えながら

車に乗せ病院に向かった。

病院に着くと

おじさんが泣いていて

「ちょっとどんななの
大丈夫なのよねかずきは」

おじさんはすすり泣きながら

「ダメかもしれないって」

私はその場に

座り込んでしまった

おばさんは

「ガラス越しにかずき」

と何度も叫んでた。

私は涙だけが溢れ

立つことさえ出来なかった。

おじさんから抱き抱えられ

「美香ちゃん大丈夫か
何でこんなことに」

私は倒れたらしく

目を覚ますと

お父さん

お母さんが泣いていた。

「お父さん
お母さん」

「美香」

私はお母さんに

抱きしめられた。

それからの記憶は

今でも曖昧で覚えてない

かずきはいないと

私は思い込んだ。

「美香大学やめて
家に帰って来なさい
かずきがいないんじゃ
辛いだけだ」

私は何も答えることが

出来なかった。

かずきはいない

かずきはいない

何百回も

頭の中で響いた言葉。

それから私は

大学をやめて地元に帰った。

拒食症になり治療も受けた。

何度も自殺しては

未遂に終わった

かずきの家族は引っ越した。

悲劇から二年がたった。


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