身長差43センチのふたり。



「…どうしたの…?」

『え?あー…いや、その…怒ってるんじゃないかと思って、』


怒る?……どうして?

電話の向こう側で気まずそうにしている千尋くんの隣には島津さんがいるんだろうなと思ったら、携帯電話を持つ手が震えた。

島津さんに、教室で私が怒ってた、とでも言われたの…?


「…怒ってないよ。」

『そう?なら、いいんだ。』

「――千尋くん。」


今の私、私じゃない。

島津さんが邪魔だなんて思ってる私は、なんて醜いんだろう。


『ん…?』

「ゴメンけど、テスト中は集中したいから…これから、一緒に勉強できない。」

『えっ…?』


今の私は千尋くんのそばにいちゃいけないと思った。

こんなどす黒い感情を抱えた私を千尋くんに見せたくない。

見せたらきっと、千尋くんは私から去っていく――…。


「ごめんね。…バイバイ。」

『ちょっ、ひなッ』

プツッ


千尋くんの言葉も聞かずに閉じた携帯電話。

――これでいい。

私は、千尋くんから距離をとったほうが良いんだ――…。



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