身長差43センチのふたり。



――眠れなかった。


翌日。

トボトボと駅から一本道の歩道を一人で歩く。


千尋くん、絶対不審に思ってるよね…。

昨日の夜、千尋くんにメールで"朝、いつもより早く学校に行くから、一緒に学校にいけない"とウソを伝えた私は、何の用もないのに人の少ない早朝の学校に登校していた。

返ってきた千尋くんのメールは、何か用事?って書いてあったけど、私はごめんなさい、としか打てなくて。

本当のことが言えない私は、なんて弱虫なんだろうか。


素直に、島津さんのことをどう思っているのか、千尋くんに聞けばいいのに。

距離を置きたいと、直接言えばいいのに、言ったら千尋くんが離れていくかもしれないと思って、中途半端に千尋くんの手を掴んでる。


――ダメ。今、泣くわけにはいかないの。

瞳に溜まる涙は堪えられるようになったけれど、心はドクドクと黒い感情とともに血を流したまま。

今日の朝、部屋の鏡で見た自分の悲惨な顔を思い出して、さらに千尋くんには会えないと思った。


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