優しさに包まれて
『ごめん。焦らなくていいんだ。もう、こんな時間だし、とりあえず出るか。』

翔は、そう言って会計を済ませると、由華の手を取りお店から出る。

『浅菜、お前のマンションは、こっちか?とりあえず送るよ。』

由華の返事も聞かず、手を握ったまま歩き出す。

しばらく歩くと由華のマンションが見えてきた。

『あのマンションです。』

由華の声で翔は一旦、足を止め、マンションを見上げた。

『そっか…。了解。じゃ、もうすぐお別れだな…。』

そう言って歩き出す。

マンションのエントランスに着いて、繋いでいた手を離した翔。

『じゃ、また明日な。ちゃんと寝ろよ。』

由華の頭を撫でる。
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