優しさに包まれて
『はい。おやすみなさい。』

『おやすみ~。』

そう言って背中を向け手を振る翔。

由華は、翔の背中を見つめたまま動けずにいた。

ふと時計を見ると、もう終電の時間を過ぎていた。

時計を見た瞬間、翔を追いかける由華。

翔の家が、会社から電車で1時間ほどの場所ということは以前に話したことがあったので知っていた。

『課長~!』

驚いた顔で振り向いた翔。

『どうした?』

『課長。もう終電ないですよ。』

『わかってるよ。駅でタクシー拾うから大丈夫だよ。そんなこと心配して追いかけてきたのか?』

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