優しさに包まれて

ん？

彼氏がいるって断ったけど、誰とも付き合わないつもり？

どういうことだ？

考えていると、浅菜さんが

『もしかして、まだ阿部部長のことが好きだとか言わないよね？』

そう言った。

『……………。』

返事は聞こえてこない。

『優希。阿部部長は彼女がいるの。私たちが入社する前から付き合ってるんだよ。あの左手の薬指のリング、毎日見てるんでしょ？』

『由華…。声、大きいよ。』

優希の言葉を聞いて、

『でもっ！このままじゃ…。』

『だって、諦められないんだもん。あれから、ずっと変わってないよ。私…。阿部部長が好きなの。他の人は無理。』

浅菜さんの言葉を遮るように言った優希。