飼い猫と、番犬。【完結】
体に掛けた羽織から目から上だけを覗かせじっと見つめてみても、その真意の程はわからないけれど。
一応最後の最後には助けてくれたのだし、取り敢えず今は深く考えないようにする。
でないと肝心な事を忘れてしまいそうだ。
「平助」
頭をさすりながらも居心地悪そうに目を伏せていたその人。
再び私を向いた目は酷く自分を責めているように見えて、思わず私まで顔が歪む。
つられてはいけないと小さく息をついて気持ちを落ち着かせると、そっと笑みを浮かべた。
「今日の事は私の不注意です、平助の所為じゃありませんよ」
「でも俺ならもっと前に止められたのにっ」
「いえ、何もしていない時点では咎める事も出来ませんし、何よりこんな奴等を野放しにしている方がうちにとって不利益です。幸い大した怪我もしていません、ですからこれで良いんです」
元はと言えば連中の話を鵜呑みにした私も悪い。少しは用心すべきだった。
これは私と男達の問題だ、平助が責任を感じる必要は何一つない。
それでもまだ納得いかないのか、平助は眉間を寄せたまま。
本当に私に甘くて、優しい。
私はずっと、そんな平助の好意に甘えっぱなしだったのだ。
知らなかったでは到底済ませられない。きっと沢山傷付けた。本当に謝らなければならないのは私。
でも、謝ってはいけない。
そんな言葉は言っちゃ駄目なんです。
「……そんなことより私は、こうしてまた平助と話せることが嬉しいんです」