私の決心
いつもの優しい笑顔。

そう言えば、私服の部長って若く見えるな。

うん、定年前の人には見えない。

ドアを開けると、広いリビングに通された。

「お一人で住んでるんですよね。贅沢ですね~。」

アパートに住んでいる私にとっては、一軒家は羨ましい。

「こないだローンも終わってさ。やっと俺の物になったところさ。」

「良いですね。定年後も何も困らないですね。」

部長は私にソファに座るように促すと、コーヒーを入れてくれた。

「すいません。いただきます。」

何となく居心地のよいリビング。

部長らしく質素だが、品の良い雰囲気が落ち着く。

やっぱり男の人の家なんだなと感じた。

味にこだわってそうなコーヒーの香りに、私はホッとして微笑む。
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