好きを百万回。
「転勤したときにはどうしようかと思ったわよ。京都支店でこまりがお母さんの姓を使ってることうっかり言い忘れてたら『なんで名字が変わってんだ!』って怒って電話してきたのよ、この男は。仕事中に!」
亜弥が興奮してきたのか、野波さんをこの男呼ばわりしている。なんだか色々迷惑をかけていたようで申し訳なさに小さくなる。
「転勤して監視の目がなくなった途端に支店長に見合いを勧められるわ、他所の男の前で泣き顔見せるわ、後輩には言い寄られてるわ、無防備過ぎる!」
野波さんが言い捨てた。
「けど矢口さんもたまたまウマいこと転勤してくれておとなしくなったし安心ですよね」
山岸くんが話題を変える。
「山岸、アンタ馬鹿?矢口の転勤がたまたまな訳ないでしょ」
え・・・・・?
「あー・・・・・まあ子供の喧嘩に親が出る的な・・・・・」
結絃さんが言葉を濁した。