好きを百万回。
9


野波さんと付き合い始めたことは、社内では内緒にすることにした。

野波さんは別にバレても構わないと言ったけれど、他の女の子たちの反応が怖い。

「まあその方がいいかもね〜」

社食の隅っこで、亜弥はうどん、わたしは持参したお弁当を食べなから野波さんとのことを報告すると、亜弥が賛成する。

「いらん嫉妬を受けるのは面倒やからね。でも良かったわ」
と言いながら亜弥が一瞬、微妙に表情を曇らせた。

「うん、ご心配かけました」

「木下さんが杉浦さんにどんな心配かけたんですか?」
日替わりの焼き魚定食のトレイをわたしの隣の空いた席に置き、山岸くんが座る。
「隣、いいですか?」

「山岸、フツーそれ座る前に聞くから」
亜弥に突っ込まれる。
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