イジワルな先輩との甘い事情


「あ……」

長い長いキスをおしまいにした先輩が、ゆっくりと離れて上から私を見下ろす。
熱のこもった瞳に捕えられ、期待から鼓動がテンポを上げていく。

風邪は?とか、薬は?とか、男の顔をした先輩を前にはそんな言葉すぐにどこかへ行ってしまって……「抱いていい?」って聞く先輩に、息苦しいほどの想いを感じながら頷いた。

「やっぱり俺のだとだいぶ大きいね。今度、花奈の部屋着も買って置いておこうか」

スウェットを捲りあげてお腹の横にキスをしながら言う先輩が、片手で下着をつけていない胸に触るから「はい」って返事が少しおかしくなる。

「コンビニで下着買ったんじゃなかったの?」
「あ、買いたかったんですけど……その、下しか売ってなくて……」
「じゃあ、今度からは下着も置いておく? 突然泊まるってなっても困らないように」

なんとなくそれは恥ずかしい気がして頷けなかったけど、先輩は私の返事はどうでもよかったのか特に返事を促されたりはしなかった。

先輩の舌や指先に触れられるたびに、ぞくって感覚が生まれてそのままゆっくりと腰に落ちる。
溶け合った熱が嬉しくてギュッと抱き締めると、少し苦しそうな呼吸をする先輩も抱き締め返してくれて……。

耳元で「花奈」って呼ばれた名前に、先輩の掠れた声に……込められた想いに。
愛しさから涙が溢れた。


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