イジワルな先輩との甘い事情


「ずっとね、あれ、もしかしてーって思ってたんですよね。柴崎先輩、北澤さんの事好きなのかなって」
「えっ」
「だって、いつもカッコいい~!って聞こえてきそうな恋する乙女全開な顔で見てるから」

そんなに顔に出てたのかと驚く私に、安藤さんが「先輩、北澤さんが好きなんでしょ?」と聞いてくるから。
変に隠すのもおかしいし……第一、北澤先輩への溢れ出る気持ちを洞察力の鋭い安藤さんに隠す自信もないから素直に頷いた。

私の片思いなんだし、想ってるって事を知られる分には何も問題ないハズだ。

「好き。……でも、誰にも言わないでね。北澤先輩に迷惑かけるの、嫌だから」

釘を刺すように言うと、すんなり認めた事に驚いた様子だった安藤さんが笑顔に戻り「分かってますって」と手に持っていたカップを棚に戻す。

「普通、好きだってだけで迷惑になんてならないですけどね。柴崎先輩は少し事情もあるみたいですしね」
「……安藤さん、入ってきてまだ半年なのに情報通だね」
「だって、周りの子が結構噂してるのとか聞きますし。本当なんですよね? 柴崎専務の娘だって」
「まぁ……」
「でも、ただ親子だってだけだし、仕事には関係ないのに。
っていうか、そんな弱い噂ぶっちゃけどうでもいいし誰が何のために流してるんだかって感じですけどね。
私も、最初コーチャーになる人が専務の娘だって聞いた時には、七光り利用しまくりの偉そうでパワハラ全開な人がきたら嫌だなぁって思いましたけど」

そこで一度切って、私をじっと見た安藤さんがにっと笑う。

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